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長期連載小説11 週刊文鎮からの引用 ~ 遺体の切断

        インタールード

 さて、少年Aが供述したという殺害方法及び死因には大きな疑問がある。少年Aは

5月24日土曜日の13時30分くらいに児童をタンク山に誘い出し、そのままそこ

で、児童を殺害し、遺体をそこに遺棄したという供述をしている。このとき、児童と

激しく格闘しながら殺害に至ったと述べているが、供述通りだとすれば、殺害に至るま

でおおよそ1時間程はかかったであろう。

 土曜日の昼間、タンク山付近は散策する大人や遊ぶ子供が大勢いたはずであり、そ

のような子どもたちの格闘、死に至るまでの格闘を目撃した人間はまったくいない。

これだけ大きな事件で、覚えている人間がいるはずなのに、そういった目撃証言は

一つも報告されていない。

 さらに解剖所見によれば、児童の死亡推定時刻は13時40分ごろと見られており、

格闘する暇もなく、児童は殺されたことになる。胃の解剖をして、消化物の具合から

推定された時刻であり、まず大きな間違いはないと考えられている。

 また、少年は自身の靴ひもで少年を殺したと供述している。さらに遺体の切断は2

日後のタンク山のテレビアンテナ基地で行われたと述べている。切断に使われた凶器

は、7月6日に発見された金ノコとされており、金ノコで時間をかけて切断されたと

供述した。以下の解剖所見の一部を読めば、少年の供述はまったくのデタラメと納得

することだろう。

(監察医の解剖所見の一部の引用)

 被害児童の首は、鋭利な刃物で切断されており、その切断面は、とてもナイフや包

丁でできたようなものではない。切り口はのど下から第2頸椎に向かって非常に鋭利

に切断されており、ためらいなく切断するのは非常に難しい。医者などの解剖に慣れ

ている人間ですら難しい切断である。

 切断面の組織は血管、骨、筋肉繊維、神経線維ともに鋭利に切断されており、素人

がこのような解体を行うのはまずもって不可能である。

 また、このような切断を生身の状態でするのは、線維組織が複雑に通っている首で

は難しいと考えられる。冷凍された状態で切断されたのが正しい所見と考える。少年

の頬が紅く染まっていたこと、また、髪の毛がビッショリと濡れていたという状況証

拠と考え合わせると、冷凍された状態で頭部切断が行われた可能性が高い。

 頸部には、幅2mm程の策状痕が見られ、死因は細いひも状のもので絞殺されたもの

と見られる(以下略)。



 警察及び検察は、こんなデタラメな供述で彼が犯人だと思ったのだろうか。監察医

の所見がまったくのデタラメだったとでも言うのであろうか。今後の審理における

決着を待つばかりである。

 (97/8/6[週刊文鎮]から引用)
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テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学

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