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余命5分

多くの人間は勘違いしている。
自分たちは何でもできる、と。しかし、俺たちは何もできない小さな虫けらだ。
なぜかって?
いま落ち行くこの飛行機の中で俺は何もできないからだ。
ただ祈るしか。思いを込めて祈るしかないのだ。

ガタガタと翼が揺れて、どんなものかわからないが飛行機のパーツが一つ、また一つ
と地面に落ちていくのを見ると、絶望しか感じない。ジェットコースターのように体
が上下に、前後に浮いたり押しつけられたり。俺たちは頭を抱えて死にたくないと一
心に願う。耳をつんざくような悲鳴も心地よい。俺は一人ではない、と安心する。

これが夢だったらどんなに楽だろう。目を覚ませば、いつもの日常だ。何度も目を閉
じて、また開いても、夢ではなかった。現実だった。これが地獄だったらどんなにま
しだろう。地獄であればこの後の死はないのだろう?

ガチガチと歯を鳴らし、震える腕を押さえ、隣の男がいった。
「もし生きていたら、家族に伝えてくれないか。愛している、と。あの世でも見守っ
 ている、と」
バカ野郎。俺も死ぬんだ。誰にも伝えられない。この飛行機の中の誰にも。
俺はこくりとうなずくと、男から受け取った手紙を大事に大事にスーツの内ポケット
にしまった。

恐怖。ただ死にたくない、生きたいと願うことがこんなにも難しいことだったとは。
浮揚と急降下を繰り返すこの空飛ぶ箱が地面に叩きつけられたとき、俺たちは一人も
らさず死ぬのだろう。運命を悟ったとき、人は恐怖しか抱かないのだ。

もうダメだ。この飛行機の中で唯一、落ち着いて乗客をなだめていたCAも慌てて着席
しはじめた。きっともうあと5分も残されていないだろう。余命5分。ちっぽけな人
間に何ができるっていうんだ。シートベルトがぎゅっと俺を絞めつける。

なぁ、たった5分だけでいい。
俺のことを祈ってくれないか。
俺がこれから5分で感じる恐怖を想像してくれないか。



(解説)
スーパーフライの「愛をこめて花束を」を聞いてて思いついたんです。
自分なりの愛の詩を。こんな風にひねくれた愛の解釈しかできないなんて
相当病んでいるんでしょうか。

飛行機事故で亡くなられた方々にご冥福をお祈りいたします。
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テーマ:創作シナリオ
ジャンル:小説・文学

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