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長期連載小説28 ~ エピローグ

              エピローグ

 6月29日、北海道某市の中学校は朝から緊急の全校集会が開かれた。生徒たちは、
眠いとかだるいとか口々に文句を言いながら、体育館に集まった。教員たちの顔は
皆一様に渋かった。生徒たちを迎える体育館は、ピリピリしたムードが充満していた。
 集まった生徒たちは、無邪気で明るく、これから始まる説教の理由は一つも了解し
ていなかった。体育館の檀上に立った生徒指導担当教員は、生徒たちを見下ろしなが
ら、開口一番にこういった。
「神戸で起こった殺人事件の犯人が逮捕されました。皆さんと同じ中学生です」
 生徒たちの上には、ざわざわと動揺が走った。それぞれ口々に、「知ってる?」
「ニュースで見た」「お前だろ」等々、勝手なことをしゃべり出した。檀上の教師は
静粛を求めると続けた。
「私は本当に悲しい。恐ろしい。君たちと同じ中学生が小さな男の子を殺すなんて
 本当に恐ろしい話です。君たちの中には、『キレた』『ムカつく』と言って友達に
 暴力を振るう子たちもいます。第二、第三の酒鬼薔薇聖斗がこの中にはいるのです」
 ざわめいていた体育館は、しんと静まり返った。生徒たちには、この説示の意図は
わからなかった。ただわかるのは、自分たちが酒鬼薔薇と同じだと断じられたことだ
った。
「私は君たちにいいたい。キレた、と暴力を振るう前に、そうして亡くなった子ども
 がいるということを思い出してほしい。キレる前に自分の行動を見つめなおしてほ
 しい」

 大人たちはこうして子どもたちを断罪した。罪なき子どもに、さも罪があるかのよ
うに思わせ、濡れ衣を着せた。真実は常に一つ。しかし彼らにとっては何が真実であ
るかはどうでもいいのだ。子どもを意のままに操るために、嘘を吐き、だまし、罪を
着せる。暴力を振るう子どもたちが大人しくなればそれでいいとさえ思っていたのだ。
 大人が嘘によって子どもを支配する、悲しみの構造がいったいいつまで続くかはわ
からない。大人に騙されたと知った子どもたちは、心に深い傷を負い、悲しみを背負
って生きていかなければならない。

 僕は人殺しじゃない。悲痛な叫びをあげて。
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テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学

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